注)本稿は日本皮膚科学会発行の「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」をもとに
作成しております。
産む苦しみ・・・
アルバム3枚くらし出したあたりのミュージシャンの気持ちが痛いほどわかります。
というわけで、ここは日本皮膚科学会に頼ろうと。
「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」からなんとなく当院の治療に関係しそうなあたりを紐解いていきましょう。
まずは推奨度の説明から
推奨度の分類
A 行うよう強く推奨する(少なくとも 1 つの有効性
を示すレベルIもしくは良質のレベルIIのエビデンスがある).
A* 行うよう推奨する(A に相当する有効性のエビデ
ンスがあるが,副作用などを考慮すると推奨度が
劣る).
B 行うよう推奨する(少なくとも 1 つ以上の有効性
を示す質の劣るレベル II か良質のレベル III ある
いは非常に良質の IV のエビデンスがある.
C1 選択肢の一つとして推奨する(質の劣る III~IV,
良質な複数の V,あるいは委員会が認める VI の
エビデンスがある).
C2 十分な根拠がないので(現時点では)推奨しない
(有効のエビデンスがない,あるいは無効である
エビデンスがある).
D 行わないよう推奨する(無効あるいは有害である
ことを示す良質のエビデンスがある).
あくまで良質な論文がでているかどうか、という視点で分類されています。
こと美容領域に関しては、エビデンスの高い論文が出にくいです。
(どうしても商業ベースなので、「研究」がされにくい)
と、いうわけで「ふーん」程度にみてみるといい感じです。
CQ16 炎症性皮疹にケミカルピーリングは有効か?
CQ24 面皰にケミカルピーリングは有効か?
C1ないしC2 標準治療が無効あるいは実施できない場合にグリコール酸あるいはサリチル酸マクロゴールによるケミカルピーリングを選択肢の一つとして推奨する.但し,保険適用外であることに配慮する必要がある.
①グリコール酸 C1
②サリチル酸マクロゴール C1
③サリチル酸エタノール C2 .
→当院で用いているのは
ミルクピール・・・グリコール酸、サリチル酸マクロゴール、乳酸の合剤
化粧品・・・グリコール酸配合
です。
当院ではアトピーなどの乾燥ベースの方を除き、たいていのニキビの患者さんの毛穴のつまり(面皰)改善には保険適用のアダパレンを処方しますね。で、「痛い」「かぶれる」「効かない」などの場合上記への変更を勧めていますよ(^_-)-☆
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CQ32 痤瘡の萎縮性瘢痕に充填剤注射は有効か?
C2 痤瘡の萎縮性瘢痕に,充填剤注射(コラーゲン,ヒアルロン酸)を行ってもよいが,推奨はしない.また,保険
適用外であることに配慮する必要がある
→基本的に当院では行っていないですね。(そもそも上手くいくイメージすら沸かないしね)
推奨はしませんが、ご希望の方はお申し付けくださいませ。
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CQ33 痤瘡の萎縮性瘢痕にケミカルピーリングは有効か?
C2 痤瘡の萎縮性瘢痕に,トリクロロ酢酸や高濃度グリコール酸を用いたケミカルピーリングを行ってもよいが,推
奨はしない.また,施術にあたっては保険適用外であることに配慮する必要がある
→当院でいうマッサージピールですね。
うーん、難しいところですが、私は萎縮性・・・というか凹んだニキビの瘢痕に用いますよ。
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CQ36 炎症性皮疹,炎症後の紅斑にビタミン C 外用は有効か?
C1 炎症性皮疹,炎症後の紅斑に,テトラヘキシルデカン酸アスコルビルとL-アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム
の外用を選択肢の一つとして推奨する.但し,保険適用外であることに配慮する必要がある.
→ふふふ。ちょっとだけ違うけどついに発売になる当院のオリジナル化粧品には「3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸」という成分をちゃんと入れ込んでありますよ(^_-)-☆
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さてさて、いくつかピックアップしてお届いたしましたがいかがでしょうか?
誤解しないでいただきたいのはあくまで2017年時点のエビデンスに用いた推奨度なので
その後に質の良い論文が発表されれば推奨度が上位になることも可能性としてはあります。
大切なのはこまめにお肌を観察し、その時々に合った治療を提案し、
経過を検討しながら、推進するか撤退するか、そのタイミングを見間違えないことです。
なので信頼できる皮膚科医に、ちゃんと定期的にかかりましょう(^_-)-☆
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