コロナ禍を乗り越え、また美容医療を海外で受けられる方が増えています。
特に韓国は「美容大国」として有名で、
症例数の多さや手術費用の安さ、インフルエンサーからの広告効果で人気があります。

ただし、海外で施術を受けられた方からよくいただくご相談が、
「帰国後の抜糸をどうするか?」という問題です。

「韓国で手術を受けたけど、抜糸のためにまた渡航するのは難しい」
「他院で施術を受けたけれど、抜糸だけは近くのクリニックでお願いしたい」

こうしたケースは決して珍しくありません。
しかし、他院や海外での施術後に日本で抜糸を依頼する場合には、いくつか注意すべき点があります。
今日はその具体的なポイントを、医師の目線で分かりやすくお話しします。


■ なぜ他院抜糸が難しいのか?

まず大前提として、抜糸は単純な処置のように思えても、実はクリニックによって難易度が大きく変わります。

● 手術内容や糸の情報がない

韓国や他院で受けられた施術の場合、日本の医師側には「どんな術式で縫合されているのか」という情報がありません。
・・・いや、あるにはあるけど、ハングルの紹介状とか
読めないんです(;´・ω・)
・糸の種類(ナイロン、吸収糸、特殊な糸など)
・糸の結び方
・留めている位置や層の深さ
こうした情報が全く分からないまま、糸を探して抜かなければいけません。

そのため、想定以上に処置が難しくなることもあります。

● 糸が見つからないケースもある

特に埋没法の二重手術や複雑な切開手術では、糸が組織に深く入り込んでいることもあります。
結果として
「糸をすべて取り切れない」
「抜糸はしたけれど、一部残る可能性がある」
ということも起こりえます。


■ 抜糸のタイミングに注意

韓国などで手術を受けた際、「〇日後に抜糸してください」と指示を受けると思います。
しかし、これは一般的な目安に過ぎません。

・抜糸が早すぎる → 傷が開くリスク
・抜糸が遅すぎる → 糸痕や傷跡が濃く残るリスク

体質や手術部位によって適切な時期は異なります。
日本で抜糸を依頼する場合は、術後の日数を正確に伝えるとともに、
可能であれば手術時の説明書や術後指示書を持参するとスムーズです。


■ 費用は自費扱いになる

多くの方が驚かれるのが「費用の問題」です。
自分が手術を受けたクリニックであれば、抜糸は無料または低額で行ってくれる場合もあります。

しかし、日本で別のクリニックに依頼する場合、それは「新しい医療行為」として扱われるため、有料となります。
また、糸が深い・数が多いなどで処置に時間がかかると、追加料金が発生するケースもあります。

「韓国で安く手術を受けたけど、結局日本での抜糸やアフターケアに費用がかかった」
というのはよくある話です。

保険でやってくれるクリニックがある・・・のかもしれませんが
それは完全な違法行為
場合によってクリニックや医師だけでなく、ご自身も罪に問われるリスクがあります。

 

 

■ 仕上がりの責任は依頼先にない

非常に大切な点ですが、抜糸を依頼したクリニックは、あくまで「糸を取る処置」を行うだけです。
傷跡の残り方や仕上がりに関しては、手術を行ったクリニックの術式や縫合の仕方に左右されます。

つまり、抜糸をしたからといって「必ずきれいに治る」とは限りません。
依頼先のクリニックに仕上がりの責任を求めることはできない、という点は理解しておきましょう。

また、ちょっとしたトラブルがありその回答を抜糸してくれるクリニックがしたとて、
料金が発生していない以上何の責任も発生しません。
責任も料金も発生しない回答にどこまでの価値があると思いますか?

 


■ 再手術を考えている場合の注意点

「韓国で埋没法を受けたけれど、日本で再手術したい」
「鼻の手術を韓国で受けたが満足できず、修正をしたい」

こういったケースでは、抜糸と同時に再手術を視野に入れてカウンセリングを受けることをおすすめします。

なぜなら、抜糸の方法やタイミングによっては、その後の修正手術の難易度が変わってしまうことがあるからです。
修正の多い部位(まぶた・鼻・フェイスラインなど)は特に注意が必要です。

当院では「抜糸のみ」「抜糸+再埋没法」「抜糸+切開法」など、患者様のご希望に応じた提案を行っています。


■ 実際にあったご相談例

当院で過去にあったケースを一部ご紹介します。

・韓国で埋没法を受けた20代女性
「帰国後に糸が食い込んで違和感が強く、日本で抜糸を希望」
→ 糸が深く埋まっていましたが、時間をかけて除去。再埋没法を同時に行い、自然な二重に改善。

・他院で目頭切開を受けた30代女性
「抜糸だけお願いしたい」と来院
→ 糸が太めで硬く、抜糸にやや時間がかかったが対応可能。傷の赤みは時間とともに改善。

このように、他院抜糸は決して珍しいことではありませんが、難易度はケースによって大きく変わります。


■ まとめ

韓国など海外や他院で受けた美容外科施術の抜糸を日本のクリニックに依頼する場合は、

  1. 手術内容や糸の情報が不明なため、処置が難しくなる

  2. 抜糸のタイミングを誤ると傷が広がったり痕が残ったりする

  3. 費用は自費でかかり、場合によっては高額になる

  4. 仕上がりの責任は依頼先クリニックにはない

  5. 再手術を考えているなら、抜糸の段階から相談することが重要

といった点に注意する必要があります。

当院では、韓国をはじめ他院で受けられた施術の抜糸にも対応しております。
「抜糸だけお願いしたい」「将来的に再手術を視野に入れている」など、どんなケースでもお気軽にご相談ください。