いやあ、レーザーって難しいですね！！
何が難しいって、横文字の多いこと多いこと。
・・・あ、今日のコラムは機械の話で、美容とはあんまり関係ないです(‘ω’)
（そしてすごくざっくり書いてあるので、細かいところは例外やアバウトすぎるところも含まれています。ご容赦ください。）

とある診療日の午後・・・・
外来で「私、ヤグレーザー受けたいけど、先生のとこピコってやつしかないでしょ？」
なーんて会話があったわけですが・・・。

「横：え・・・ピコレーザーもヤグレーザーですが・・・。」

・・・ああ・・・なるほど。

我々美容医療従事者以外の方からみれば、まあ、形も似た機械でシミをとるものなんて言えば、
どれも一緒に見えて当たり前です(;’∀’)
ただ世の中のネットにはよくわからない情報も流れているわけで・・・。

それでは本稿では
ちょっと知っておくと「ちょっと美容しってるぞ感」が出る
ようなレーザーのお話を今日はしましょう！
（もともと私は大学院でレーザーを専門としていました。）

 

レーザーは「【A】【B】レーザー」みたいな風に呼ばれます。
Aは設定を、Bは種類を指します。

例えば当院が所持するCUERA社製エンライトンは
【ピコ】【ヤグ】レーザー　です。
そして脱毛で使っているシネロン・キャンデラ社製ジェントルレーズは
【ロングパルス】【アレキサンドライト】レーザーです。

主にAに入る単語はレーザーが実際に照射される時間を、Bはレーザーを抽出するためにどんな素材を用いたか、を表します。
（はい、すでになんかややこいですね。）

Aはレーザーの歴史とともにどんどん短くなって（進化して）きて
「ロングパルス」から「Qスイッチ」になり「ピコ」になってきました。
相応する照射される時間はミリ秒からナノ秒になり、ピコ秒です。

まあざっくり言えば、「超短時間でずばっとドカン」とレーザーを当てることができるように進化してきたのです。

・・・・さて、ここで勘の良い方は「なんで超短時間にしなきゃいけなかったの？」
と思うでしょう。
イメージしてください。
物質を壊すときにあまりに長い時間熱をくわえると周りまで熱が加わってしまいます。
なのですごく小さい物質を壊したいとき、すごく短い時間にしておかないと周りが火傷を起こしてしまうんです。
私達が治療の標的にする「メラニン」や「刺青の粒子」といったものはものすごく小さいため
それ《だけ》を壊すためにナノ秒より短くする必要があったんですね。

・・・・「え？じゃあ、ピコじゃなくてもQスイッチで開発はストップでいいじゃん！」という声が聞こえてきますね。
まあ、確かにそうなんですよ。
ただね、ピコ秒まで短くすると、いくつかのメリットがみえてきたのです。
（この話はなんだかややこいので後日にしましょう。）
ただ、このメリットが生きる場面は限定的なので、今でも多くのクリニックでQスイッチが現役でいるわけです。
（ちなみにピコはすごーーーーく高いので、購入をためらいます。は？っていうくらい高いです。）

さて時を戻し【B】の話を。
Bはレーザーをどんな物質を使って抽出したか（媒質）、により決まります。
レーザーは波長（色）という単一の特徴をもった光です。
通常私達がみている普通の光は複数の波長をもっているため、
レーザーにするために普通の光を何かしらの【ふるい】にかけて単一の波長を抽出します。

例えば「普通の光→ルビー→694nmの波長をもつレーザー光」
という機序で抽出した694nmの波長をもつレーザー光のことをルビーレーザーといいます。

同じくヤグは通称でNd:YAGという物質に通して1064nｍの波長をもつレーザー光を取り出したもの、
を指します。

さあ、またここで疑問ですね。
「なんで単一の波長（色）じゃないといけないの？？」
となります。
私たちの体は色々な色や物質が集まってできたカラフルな集合体です。
その中から「黒い色＝メラニン」や「赤い色＝血液」《のみ》を治療したいとき
《それだけ》に光が吸収されてくれたほうが効率よく、なおかつ周りにダメージを与えません。

ですので色々な物質を用いて欲しい波長（色）だけをだす【B】（媒質）を見つけ出してきたんですね。

 

と、いうわけでピコレーザー（ピコヤグレーザー）は
Nd:YAGを通して抽出したレーザー光をピコ秒照射する機械
という意味になるんです(^_-)-☆

 

レーザーは文明の利器ですが、火傷をわざと起こして治療していくため、
「いかに効率よく治療（破壊）でき、デメリットである周りへの障害（火傷）を少なくするか。」
が色々なレーザーが作られ、名称ができた経緯であり、理由です。
ああ・・・レーザーって優しさで出来ているんですね♡

 

さてさて、そんなこんなでなんとなーくレーザーの名称や雰囲気が伝わりましたでしょうか？
（細かく言えば例外やニュアンスの違いがありますが。）

まずは入門編としてかなり砕いたつもりです。
ちなみ美容皮膚科を標榜している医師でも、この辺を理解していない方も多いです。（ヒソヒソ）

ちょっと知ってみるとちょっと面白い。
ただ綺麗にされるより、理解して綺麗になっていくともっと楽しい！

美容ってそんな感じです。

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