さて第一項で基剤の選び方の心構えができたかと思います。
第二項は実践編と行きたいところです。
基剤選択は
・快適に安全に=ドラッグデリバリーとしての基剤
と
・基剤で治す
という二つの考え方に大別されるかと思います。
前者は皮膚の部位(毛の有無や、皮膚の薄さなど)や皮疹の状態などによって選択されるのに対し
後者は主に水分の調整で皮疹を改善させていく方法になります。
後者まで語るとえらいボリュームになってしまうので、これはまた後日に。
さて、今回はいかに快適に安全な基剤を選ぶか、ということを
話していきたいと思います。
我々がどのような視点で選ぶかというと
・皮疹の形態
・皮膚の部位
・毛の有無
なんかによるといったところでしょうか。
そこに
「どのような手触りだったら塗ってくれるだろうか」
「しみたり刺激になったりしないだろうか」
「病態に影響を与えるようなものではないだろうか」
などを考えいくつかある形状の中から選んでいくわけです。
代表的な基剤の形状でいえば
・軟膏
・油中水型クリーム(乳剤性軟膏)
・水中油型クリーム(乳剤性軟膏)
・ゲル
・水中油型ローション
・アルコール剤
・テープ剤(硬膏)
なんかがあるでしょうか。
商品でいうとクリームなのに「軟膏」とついてたりと、細かなトラップはあるわけですが、
ザックリこの分類で覚えればよいかと思います。
まず定石①
迷ったら「軟膏」
まずはこれです。
メリットは皮疹がどんな形態であれ、基本的に「安全面は」問題ない。
デメリットはベタベタするので、塗りにくいと評する人が一定数いる。
といったところでしょうか。
・・・夏場とか嫌ですよねえ。
軟膏は基本的に「油」で作られているため、雑菌の繁殖が理論上ないといわれています。
対してその他の剤形は何かしらの「水」を使用しているので、雑菌を抑えるための
保存料や乳化剤といった添加物が混入されています。
この添加物がマレに刺激になる事があるので、皮膚の表面がない状態(びらんとかいいます)だと
適切ではないといわれています。
定石②
さらっとするほど使いやすいけど、刺激がある場合が多い。
こればっかりは塗ってみないとわからないことが多いところではありますが。
基本さっぱりするものほど何かしらの乳化剤や保存料が含まれており、それにより
刺激や接触皮膚炎を起こす可能性があるとされています。
をまず覚えることが肝要です。
それに加え
毛が生えているところ→ローション剤
ニキビなど皮脂が分泌過剰→ゲルやローション
夜→軟膏
朝→クリーム
など
軟膏特有の保護作用より「塗り心地を優先したい」時には、
塗り心地のよりものをチョイスしてあげると
塗りやすい→塗れる→効く→嬉しい→塗る→もっと効く→めっちゃ嬉しい
と良い循環になり、効率よく治療が進みます。
(外用アドヒアランス・・・とかいうんだっけ。)
これは患者さんの話をよく聞き、塗れているかどうかを診察の度にチェックすることで
医学的なオススメと患者さんの希望を摺り寄せていく事が必要です。
(つまりはしっかり耳を傾けましょうってことです。)
さて、いかがでしょう?
なんか
軟膏の良さと軟膏以外も勧めれそう
な気がしてきましたでしょ?
これ以上難しいところはまあ、皮膚科専門医にふっていただければいいんです。
そのための皮膚科専門医ですからね。